「千の利休」ゆかりの、堺市にある和菓子屋さんが、最近建てられた茶室を、見せていただきました。お店の奥にあります。見学の後、カステラと「おうす」をいただきました。

この茶室は、利休が切腹した後に取り壊された大阪屋敷の茶室を歴史資料から、京繊大の中村昌生名誉教授が監修設計され当時の形に再現されたそうです。南側に御陵があり借景が大変綺麗でした。雨の日の夕暮れで暗くなって、ライトアップされていましたが、明るすぎて、茶室を鑑賞するには如何なものか?と感じた次第です。
今日のタイトルのわびとさびにに付いて、以前に読んだ本からその定義をご紹介しますと、
『一言にして言へば、さびは無を根底にしているのに対して、わびは、有と有との対比の観念である。巨大な物に対する狭小、派手に対する地味、豊富に対する欠乏、豪奢に対する謙虚でありながら、どこかに自己の優越を感じているというところにわびがある。利休が無を根底とするさびまでゆけずに、わびに終ったのは、信長、秀吉といふ独裁的武断政治家と直接結びついたことに由来する芸術家の必然の運命であった。そして今日においても、政治と芸術、政治家と芸術家との交渉の仕方、関係の仕方のひとつの範型としての利休のわび、わびずきの在りかた、またそこから當然に由来した切腹の仕方を考えうるだろう。一般にはさびと殆ど同意語として使はれているわびの性格を右のように規定し、それを歴史の中で考へたとにいふ点に、この書(南方録)のいささかの特色があるといへるだろうか。』
唐木順三著 『千利休』 カッコ内文は本文より引用
今から420年前にこんな綺麗な材料が使われていたのか?疑問ですが、今は、粗末な本物の材料を揃えるほうが難しいのか?有っても使いこなせる職人がいないのか?とにかく、いくら天下の大阪城内の利休屋敷といえども、もっと素朴な材料が使われていたと、私は思います。
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